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サインについて
オリジナル版画には必ずアーティスト本人が直接署名するのが、 今では世界の慣習になっています。この慣習は、15世紀終わり頃、 シンボルやイニシャルを組み合わせたモノグラムを版画に組み込んだのがその始まりで、 その後、略記号を手書きで表記するようになりました。 そして、版画協会ができて後の19世紀末頃から、 版画の余白にアーティスト自身が直接署名する形式が、広まりました。
今では、作品の価格に大きく影響する非常に大事なものとなっています。
サインは多くの場合画面右下余白の部分に入れられます。 また、サインに用いる筆記用具は通常黒の鉛筆ですが、 サインの場所と同様に必ずしも統一されているわけではありません。 ラッセンやシムシメールのキャンバス上に刷った版画や 天野喜孝のシバクロームの作品、アイベンアールの作品では金ペンがよく用いられます。 ピカソのリトグラフ作品では赤鉛筆で署名したものもあります。 インクを使うアーティストもいますが、長い年月とともに退色してしまうので、 鉛筆や金ペンが用いられるのでしょう。
また、東山魁夷や平山郁夫といった日本画作家の作品には直筆サインの代わりに朱文方印(落款)が作品余白、 もしくはシート(絵の部分)上に押されているものがあります。
オリジナル版画以外の版画にもサインがある場合があります。 例えば、エスタンプやエステートなどです。 本人ではなく、遺族がサインを施したものを遺族サイン、 刷り師のものを刷り師サイン、 原画そのものにされていたサインを そのまま版画に刷られたものを版上サインと呼びます。
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