アンディ・ウォーホル/サンデーBモーニング／マリリン・モンロー１０枚セット

スタッフコメント

「縮小版でもリプリントは許さない」

これは、コピー作品に関して厳しいことで有名な、ウォーホル・ファンデー
ション（アンディ・ウォーホル財団）の理念です。
しかし、これほどの主張をしているウォーホル・ファンデーションが、唯
一、容認していて、ウォーホル自身も関わったとされるコピー作品があります。
それが「サンデー・Ｂ・モーニング版」です。

コピー作品とはいっても、「サンデー・Ｂ・モーニング版」は、完全なアー
ト作品として扱われています。
また、今現在も、国際オークションなどで取引されており、ファンの間でも
絶大な支持を受けている作品なのです。

ウォーホルのリプロダクションが世界中でポスターや複製として販売されて
いる中、「サンデー・Ｂ・モーニング版」だけが、ここまでウォーホル作品
に近い位置で評価されるのには、深い訳があったのです。


1970年、ウォーホルがアメリカで一定の評価を収めた後、ヨーロッパ進出を
狙い、大規模な展覧会を催しました。
その時、ドイツ人とベルギー人の若い２人が「マリリン・モンロー」シリー
ズのヨーロッパ版を制作しないかと、ウォーホルに話を持ちかけてきたのです。
当初、ウォーホルもこの話を受け入れ、この２人に、シルクスクリーン用製
版フィルムの陰影版を貸し出しますが、途中で企画から降りてしまいます。
それでも２人はヨーロッパの版元として「マリリン・モンロー」を始め
「キャンベル・スープ」や「フラワー」シリーズといった、ウォーホル作品
のリプリントを制作し続けました。

２人が制作したものは、91cm四方でできたファクトリー・エディションより
やや小さい、84cm四方の作品でした。
配色もオリジナルとはわずかに違う８種類のプリントを制作し、ファクト
リー・エディションと同じ、250部ずつ印刷したのです。
また、２人は作品の裏面にウォーホルのサイン代わりに「fill in your own
signature. sunday.B.morning（自分でサインしろ！）」と書かれた黒色の
スタンプを押し、エディションを行なっていました。

ウォーホル作品を作り続けていた２人ですが、1980年代に入り、ベルギー人
の方が亡くなると同時に、その妹のもとにたくさんのプリントが残ったのです。
これが、今現在、世界中に出廻っている「サンデー・Ｂ・モーニング版」です。

今までに、「サンデー・Ｂ・モーニング版」は、過去に4回印刷されています。
しかし、現在流通している作品のほとんどは、1990年代後半にサンデー・
モーニング社によって再印刷された作品であり、裏面に押されたスタンプも
当初の黒色から青色へと変わっているのです。

「サンデー・Ｂ・モーニング版」は、こうした複雑な経緯をたどって生まれ
ました。
コピー版とはいえ、同じ版を使っているため、オリジナルと同等に美しい仕
上がりとなっている「サンデー・Ｂ・モーニング版」。
その鮮やかな発色と繊細な作りは、今現在も、単なるコピーではない奥行き
と魅力を人々に与えています。